照葉樹林の秋

照葉樹林の林縁
The edge of the laurel forest in kanagawa Pref.

照葉樹林というと 『季節感がない』という印象なのですが…
秋も深まったこの日、カラフルな植物たちに出会って、見直して
しまいました。アカガシ シラカシ ヤブニッケイ モチノキ
アオキ ヤツデ タブ そして ヤブツバキ などなど

緑濃い山の中に ハゼのオレンジ色の紅葉 クサギの宝石のような
ブルーの実 斜面から伸びたホトトギスの花 ヒヨドリジョウゴや
スズメウリ カラスウリ サネカズラ。なんとたくさんの種類
豊かな彩。
陽ざしの入りにくい照葉樹林では林縁にいろいろなものが
育つのでしょう。防災の面でも有用ということで注目されていますが
日本の森林面積の中ではかなり少なくなっているとか。
モウソウチクが照葉樹林の回復を阻害しているといわれると
なるほど、竹藪だらけだと納得します。

人間の都合で手を加えられてきた森が 実は不都合な結果を
招いている、という昨今かもしれません。
『国土の未来像』が見えているわけではないので、私としては
『身の回りの自然』を大事にするということになります。

タブの木のカヌーで人が渡ってきた大昔のことなど想像しながら
ため息交じりに ホトトギスの花の構造とにらめっこしました。

 

9月の林縁

ノハラアザミ、チョウセンゴミシ、ノイバラ
Cirsium oligophyllum, 
Schisandra chinensis, Rosa multiflora

この時期、散歩していると、輝く様な赤い色が目に入ります。
近寄るとチョウセンゴミシの実。
色々な木の実草の実が色づき始め、林縁を彩る季節になりました。
最近、植物は、かなりはっきりした色を持っている、と思うようになりました。
観念的に淡い中間色を使って描いていたかもしれない、見たままの色で描くとどうなるだろう、
という実験的な1枚になりました。

H.D.Thoreauの『野生の果実』という著書にはペン画のイラストが入っています。
それは精密でありながら植物の手触りのようなものが感じられ、素晴らしいな、と、
時々ページを開けて眺めています。

アオナシ

アオナシ、ヤマグリなど
Pyrus hondoensis

農道の縁に大量に落ちていた木の実。拾ってみたら梨の匂い。名前はアオナシ。
ヤマナシの仲間です。恐る恐る食べてみると野生のものとしては十分食べられる甘さ。
ヤマグリは9月半ばを過ぎると落ちているのを見かけます。
アブラチャンのまだ青い実と、どんぐり。
このドングリは袴の形が珍しく名前がわかりません。
ドングリは混雑しやすいと聞いています。
などといいながら、珍しいものに出会うと名前がわかるまで
気になってしまう困った習性と自覚しています。

アブラチャン

アブラチャンの実
Parabenzoin praecox

なんて不思議な名前なのでしょう!いつごろ、誰が名付けたのか…
漢字では油瀝青。とても植物とは思えません。
名前は奇妙でも役に立つようです。実や枝から油がとれる。
そして、山間の雪の深いところでは、この枝で、輪かんじきを
作っていたそうです。昔の人の知恵に驚かされます。
同じ季節を何度も体験しながら、まだまだ初めての植物、動物に出会います。
自然はほんとに奥深いですね。